「資材が入ってこない」建設現場で異変続出…“ガテン系社長”が語る中東情勢悪化のリアル

中東情勢の悪化により、さまざまな業界・企業が甚大なダメージを受けている。とりわけ、建設業界への影響は深刻だ。危機的な状況に直面していることを伝えるニュースも相次いでいる。ただ、報道内容と現場で働く人々の実感に乖離があることは珍しくない。そこで今回、主に鳶工事や鍛冶工事、基礎工事などを手がける、東京都大田区に本社を置く建設会社「株式会社野谷組」の代表取締役社長であり、SNS総フォロワー30万人を数える“野谷のオヤジ”こと野谷朋也氏に、中東情勢悪化の影響について話を聞いた。(聞き手・望月悠木)
目次
東日本大震災やコロナ禍とは全く事情が異なる
――過去には東日本大震災やコロナ禍など、未曽有の事態が起きました。これらが与えた影響はどの程度でしたか?
東日本大震災の際は、もちろん混乱はありました。ただ、当時は復興を目指さなければいけない状況だったので、建設業界の需要は増加し、仕事がなくなることはなかったです。
また、コロナ禍についても、建設業界は他業種ほど深刻な影響を受けていなかったと思います。というのも、建設業は基本的に屋外作業が中心です。当時叫ばれていた「蜜を回避しろ」みたいなお達しに影響されることも少なかったです。
――一方、今回の中東情勢の悪化はいかがですか?
東日本大震災やコロナ禍とは全く事情が異なります。ニュースでも度々報じられている通り、塗料、接着剤、防水材、樹脂系資材など、ナフサ由来の資材の高騰や不足が深刻です。
「工事は決まっているが、材料が入らないため着工できない」「工事途中で資材待ちとなり、工程が止まっている」など、現場を動かせない状況が相次いでいます。中でも、ナフサ由来の資材が必須な、防水工事、塗装工事、修繕工事などの業種への影響は甚大です。
「やればやるほど赤字」というケースも
――資材不足以外で深刻化していることは?
鉄材価格の高騰も大きいです。新築工事などでは、契約後に資材価格が急騰してしまい、契約時の金額を見直せないまま工事を進めざるを得ないケースが増えています。いわゆる「やればやるほど赤字」という状態です。
建設業界では、受注から完成まで半年から1年以上かかる案件も珍しくありません。そのため、契約時には想定していなかったレベルの価格高騰が、工事の途中で発生することもあります。しかし、契約上、途中で簡単に工事価格を変更できるとは限らない。資材価格が50%、場合によっては倍近くまで上昇しても、施工会社側が負担を抱え込まざるを得ないケースが起きています。
さらには、現在は「価格が上がる」だけでなく、「そもそも資材が入ってこない」という問題も同時に発生しています。資材不足で工期が延びれば、その分だけ人件費や現場維持費も膨らむ。加えて、ガソリン価格高騰による物流費の上昇も重なり、利益が出ないどころか、赤字だけが積み上がっていく現場も少なくありません。