老後に必要なお金はいくら? 老後を安心して過ごすための資産形成方法をご紹介 みんかぶ編集室 2024.03.05 (2022.12.01公開) 資産形成のはじめ方 世界一の長寿国である日本。人生100年時代に突入し「老後資金が必要だ」と言われても、自分は実際にいくら必要なのか、なかなか分かりませんよね。そこで今回は、老後への不安を解消するため「老後資金はいくら必要なのか?」「老後のための資産形成はどうしたらよいか?」についてご説明します。 目次老後の期間は男性なら最低20年、女性なら最低25年と考える老後に必要な金額は2000万円?将来の年金額がいくらなのか確認しよう老後の支出は現在の支出から予測老後資金のシミュレーション(会社員(夫)+専業主婦(妻)の世帯)老後に向けて資産形成をしよう積み立て投資で資産形成アセプラなら計画的に老後資金の形成が可能【まとめ】老後資金に困らないためにも資産形成に取り組もう 老後の期間は男性なら最低20年、女性なら最低25年と考える 老後がいつからなのか、はっきり決まっているわけではありませんが、定年退職を迎えた時点(65歳くらい)から、とするのが一般的です。 また老後生活がどれくらい続くかは、平均余命から推定できます。令和3年の厚生労働省「簡易生命表」によると、65歳時点での平均余命は男性19.85年、女性24.73年でした。以上から老後の生活期間は、男性が最低20年くらい、女性が最低25年くらいと考えるといいでしょう。 老後に必要な金額は2000万円? それでは老後資金は、実際にいくら必要なのでしょう? 2019年に「老後には(公的年金以外に)2000万円のお金が必要だ」と書かれた報告書が金融庁の金融審議会によってまとめられ、世間を騒がせました。いわゆる「老後2000万円問題」です。これによって「現役世代のうちに2000万円の資産を用意しておかないと老後の暮らしが立ち行かなくなる」という印象を持ち、不安を抱いている人も少なくないでしょう。 しかし老後資金が一律2000万円と考えるのは明らかな誤りです。そもそも老後資金とは「老後の収入で賄えない支出のために用意する資金」であって、老後期間の全収入から全支出を引いた差額(不足額)が、必要最低限の老後資金なのです。したがって、この差額(不足額)は、その人の収入と生活水準によって当然異なります。 つまり、老後資金は人それぞれ。自分の老後の収入と支出をシミュレーションし、不足する分(老後資金)をあらかじめ把握しておきましょう。 単身世帯の生活費 まず単身世帯の老後の生活費を見ていきます。総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)単身世帯及び総世帯の家計収支」によると、令和3年における高齢単身無職世帯(65歳以上の単身無職世帯)の実収入は、月額13万5345円でした。そのうち、個人が自由に処分できる可処分所得は、月額12万3074円です。なお、日常生活に必要な商品やサービスに使った消費支出は月額13万2476円で、可処分所得から消費支出が占める割合を示した平均消費性向は107.6%となっています。 つまり、可処分所得より7.6%(月額9402円)も多く支出しているのが高齢単身無職世帯の実態です。したがって、可処分所得を消費支出に近づけるためには、最低でも 実収入(年額)× 平均余命 × 7% の老後資金を確保する必要があります。 夫婦2人世帯の生活費 続いて、夫婦2人世帯の老後に必要な生活費を見ていきましょう。総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)単身世帯及び総世帯の家計収支」によると、夫婦高齢者無職世帯(65歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実収入は月額23万6576円で、可処分所得は月額20万5911円でした。また、消費支出は月額22万4436円で、平均消費性向は109.0%となっています。 つまり、可処分所得を9.0%(月額1万8525円)上回る支出をしているのが夫婦高齢者無職世帯の実態です。そのため、可処分所得を消費支出に近づけるには、最低でも 実収入(年額)× 平均余命 × 7.8% の老後資金を確保する必要があります。 将来の年金額がいくらなのか確認しよう ほとんどの人は、老後になったら年金が主な収入になるでしょう。したがって老後資金を考える際は、自分がいくら年金が受け取れるのか最初に把握しておかなければいけません。 まず、年金の種類を確認しましょう。年金は、大きく分けて「公的年金」と「私的年金」があります。公的年金とは「国が運営する年金制度」のこと。わが国は「国民皆年金」ですから、通常なら「厚生年金」「国民年金」のどちらかに加入しています。 私的年金とは「老後により豊かな生活を送るため、公的年金とは別に任意で加入する年金制度」。会社で加入する企業年金制度、保険会社で加入する個人年金保険、国民年金加入者が任意で加入する国民年金基金など、さまざまな種類があります。私的年金に加入しておけば、公的年金にプラスして、毎月の年金額を増やすことができます。 公的年金の確認方法は、厚生労働省「あなたの年金見込み支給額」にねんきん定期便の数字を入力すると、簡単に試算できます。50歳以上になると、「ねんきん定期便」に将来の受取額の見込みが記載されているので、これを確認するといいでしょう。私的年金の金額は、年金保険なら契約時の書類やパンフレット、毎年郵送される書類に記載されていますし、国民年金基金ならこちら「国民年金基金連合会」のホームページで調べることができます。確定拠出年金(iDeCoなど)の場合は、掛け金の合計に年金終価係数を掛けると最終的に受け取れる年金額(総額)が計算できます。iDeCoのシミュレーションが簡単にできるWebサイト「ろうきん iDeCoの節税シミュレータ― 」もあります。 老後の支出は現在の支出から予測 収入の次は支出を計算します。 総務省の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」によれば、夫婦高齢者無職世帯の毎月の消費支出は22万4436円でした。 しかし、この金額はあくまでも平均の数字。あなたの生活には見合っていない可能性があるため、自分の老後支出がいくらになりそうなのか確認しなければいけません。 確認方法は、まず現在の家計収支のチェックから始まります。食費、水道・光熱費、教養娯楽費など、生活費を項目ごとに算出し、現在の支出(月額)を確認しましょう。 次に理想の老後生活をイメージし、現在の支出が老後生活でどれくらい変化するかシミュレーションすれば、老後生活の支出(月額)を把握することができます。 最後に支出と収入の差額(月額)を12倍し、さらに余命年数(男性約20年、女性約25年)を掛け算すると、最低限の老後資金(必要額)が予測できます。 老後資金のシミュレーション(会社員(夫)+専業主婦(妻)の世帯) 上記の算出方法で、夫婦高齢者無職世帯(65歳以上の夫婦のみで、世帯主が無職の世帯)の老後資金(必要額)を計算してみます。 まず、前出の「家計調査年報(家計収支編)」では、高齢夫婦無職世帯の1カ月の平均消費支出は22万4436円です。 一方、会社員(夫)+専業主婦(妻)とした場合、それぞれの平均年金受給額は、会社員の夫が月14万6145円、専業主婦の妻が月5万1276円なので、世帯収入は19万7421円しかありません。 出典:厚生労働省「令和2年度 厚生年金・国民年金事業の概況」 したがって、この場合に必要になる老後資金は毎月2万7015円、老後の期間を25年とすると約810万円になります。 ただし25年間には税金などの非消費支出や、住居の修繕など大きな支出に備えた資金も必要なので、ゆとりある老後生活のためには、これらの分をさらに用意しなければいけません。 以上はあくまでも一般的なシミュレーションですが、これを参考にして、ぜひ自分の理想の老後生活における支出と収入のギャップ = 必要な老後資金を計算し、その金額をあらかじめ準備するようにしましょう。 老後に向けて資産形成をしよう 老後資金の目標額が決まったら、次は資産形成に取り組んで、定年までに老後資金を確保しなければいけません。これから起こるライフイベントや物価の上昇(インフレ)なども想定した上で、年金保険、iDeCo、積み立て投資などを利用して資産形成を始めましょう。 年金保険で資産形成 年金保険は民間の保険会社が販売する保険商品です。保険料を一括で支払うことも可能ですが、一般的には毎月保険料を支払い続けて60歳や65歳から年金を受け取ります。 #年金保険の主なメリット (1)年金のプランニングが可能 年金保険では「65歳から20年間、毎月8万円を受給する」といったように、自分で年金のプランニングが行なえます。 (2)保険料の一部が控除の対象になる 生命保険料控除によって所得税から最高4万円の控除が受けられます。 #年金保険の主なデメリット (1)ライフイベントによるプラン変更が難しい 結婚や出産などのライフイベントで資金が必要になっても、年金保険は途中で取り崩せません(契約者貸付を利用して、お金を借りることは可能です)。 (2)インフレに対応しづらい 現在の貨幣価値で老後の年金額を決定してしまうため、インフレが進んでいると、老後の生活資金が足りなくなる(公的年金の不足をカバーしきれなくなる)可能性があります。 iDeCoで資産形成 iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で決めた額の掛け金を積み立てて運用し、60歳以降にそれを受け取れる制度です。公的年金を補完する制度として運営され、大きな税制優遇がメリット。現在、政府・与党が検討している「資産所得倍増プラン」では、制度が見直され、より多くの人がメリットを受けられるものになりそうです。 #iDeCoの主なメリット (1)掛け金や運用方針を自分で決められる iDeCoの掛け金は最低5000円から1000円単位で設定可能です。また、運用商品は運営管理機関(銀行、証券会社など)が選定したものの中から自由に組み合わせられます。 (2)税制優遇がある iDeCoの掛け金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象のため、所得税と住民税を軽減することができます。また、運用益は非課税で再投資でき、受給時には「退職所得控除」か「公的年金等控除」の対象になります。 #iDeCoの主なデメリット (1)掛け金の上限額がある。 iDeCoの掛け金の上限額は、厚生年金の加入者は月2万3000円、国民年金の加入者は月6万8000円です。ただし、他の私的年金に加入していると、下記のように上限額が変わるケースがあります。詳しくは「iDeCo公式サイト」などで確認できます。 勤務先で企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入しているとiDeCoの上限額が月2万円になってしまい、さらに「企業型DCの事業主の拠出額」と「iDeCoの掛け金の合計金額」が5万5000円を超えることができない。 勤務先で企業型DCと確定給付企業年金(DB)の両方に加入していると、拠出限度額が1万2000円に減って、さらに事業主の拠出額を合計した金額が5万5000円を超えることもできない。 国民年金の加入者が国民年金基金に加入している場合は、iDeCoの掛け金と国民年金基金の掛け金の合計額が6万8000円までに制限される。 (2)中途解約ができない iDeCoは、原則60歳になるまで掛け金や運用益を引き出せません。 (3)手数料がかかる iDeCoには、金融機関の口座の維持や運用に手数料が発生します。 積み立て投資で資産形成 積み立て投資にはいろいろな種類がありますが、税制優遇を利用して、初心者がおトクかつ比較的安全に老後資金を作れるものとして、NISAのつみたて投資枠と企業型DC(企業型確定拠出年金)があります。 NISAのつみたて投資枠は「少額の長期積み立て分散投資」をサポートする制度。「運用商品は手数料が低額」「分配金の支払いが頻繁ではない」「長期積み立て分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)のみ」など、投資の初心者が利用しやすい制度設計になっています。また分配金や譲渡益に対し、無期限で非課税というメリットもあります(非課税投資枠は年間120万円まで)。 一方の企業型DCは、勤務先企業が掛け金を拠出して、社員が運用する積み立て投資で、運用成績によって将来受け取る退職金や年金の額が変動します。加入を義務付けている企業と、加入するかどうか社員が選択できる企業があり、掛け金の額は役職などによって決まるケースが大半です。 企業型DCには、社員が掛け金を上乗せできる「マッチング拠出」という制度もあります。企業型DCの主なメリットは「運用益の非課税」「退職所得控除と公的年金等控除の対象」「マッチング拠出の掛け金に対する全額所得控除」の3点です。 アセプラなら計画的に老後資金の形成が可能 資産形成を始めた人には資産状況の管理が要求されます。管理をおろそかにすると運用成績に悪影響を及ぼしかねないため、適切な管理が必要です。 とはいえ、会社員が仕事の合間を縫って資産管理を行うのは簡単ではありません。そういった人に最適なのが、アセプラ(みんかぶアセットプランナー)という資産形成のための資産管理ツールです。 アセプラはチャートなどがビジュアル化されているため、資産の動きをわずか1分で把握できます。また、運用成績がまとめられたレポートが日次、週次、月次に分けて配信されるため、資産の動きを見逃していても安心です。 AIのアドバイスが受けられるのも特徴で、初心者の資産形成を様々な面からサポートしてくれます。 アセプラについて詳しくは「アセプラ〜個人の資産形成をサポートする資産・投資管理ツール」を是非チェックしてみてください。 【まとめ】老後資金に困らないためにも資産形成に取り組もう 総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)総世帯及び単身世帯の家計収支」によると、高齢無職単身世帯、高齢無職の夫婦2人世帯ともに消費支出が可処分所得を上回っています。つまり、月々の生活費が足りない高齢者が少なくないのが実態です。この現実は、若い頃からの資産形成の重要性を教えてくれています。老後資金に困らないためにも、資産形成に取り組みましょう。