30代・40代におすすめの資産形成は?ライフステージに合った方法をわかりやすく解説

30代・40代になると結婚、出産、育児など大きなライフイベントが続き出費が増えます。同時に、老後資金について真剣に考え始める方も多いのはないでしょうか。役職が上がるなどして収入も増えてくる30代40代は、資産形成を始める絶好のタイミングといえます。
この記事では、
- 30代40代が資産形成を始めるべき理由
- 30代40代におすすめしたい資産形成ランキング
- 資産形成でやってはいけないNG行為
について紹介します。記事を読めば、ご自身に合った資産形成方法が理解できるでしょう。
▶︎20代におすすめの資産形成について詳しくは「資産形成とは?20代・30代でも始めやすいおすすめの方法も紹介」で解説しています。
目次
30代40代は老後の資産形成を始めるタイミング?

まず、30代40代が資産形成を始めるタイミングに相応しい理由を、紹介します。
30代40代のライフイベントで約5,000万円以上必要?
30代40代の主なライフイベントと必要資金の目安を表にしています。
ライフイベント | 必要資金の目安 |
---|---|
結婚 | 約469万円 |
マイカー購入 | 約214万円 |
マイホーム購入 | 約4,397万円(土地付き注文住宅) |
出産 | 約46万円 |
教育資金 | 約1,963万円 |
教育資金は子供1人あたりなので、子供の人数が増えるほど用意すべきお金も増えます。またマイカーやマイホームもこだわればこだわるほど、お金はかかります。ライフプラン全体を考慮しながら、各ライフイベントでいくらまでなら払えるかを、計算すべきでしょう。
給与水準は上がらず退職金も減少傾向にある

2021年9月に公表された国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査結果」によると、2020年の日本の平均給与は433万円でした。平均給与は2019年が436万円、2018年が441万円で、2年連続で減少傾向にあります。上記の図の通り、他の先進国の給与水準は上がっているのに対し、日本だけが下がっているのです。住宅価格などは高騰しているのにもかかわらず給与は下がる一方なので、日本人の懐事情はお寒くなっていることがわかります。

また上記の図のとおり、退職金も減少傾向にあります。親世代は、現役時代に貯金をしなくても退職金を老後資金に充てて、年金と退職金さえあれば不自由なく過ごせました。しかし、これからの時代はそのような生活を期待するのは、難しいかもしれません。今の30代40代が退職する頃には、もっと退職金が少なくなっている可能性があります。
多くの人が年金を老後の生活費に充てようと、期待しているでしょう。しかし、少子高齢化が急速に進んでいるので、年金の受給額も減ったり、受給年齢が繰り下げられたりする可能性も充分考えられます。
給与と退職金を合わせた生涯年収が減少しており、年金制度もどうなるかわかりません。ですから、現役世代のうちに資産形成をして、老後に備える必要があるのです。
老後資金の確保も必要
老後2,000万円問題が話題になりましたが、老後に必要となる資金は、人それぞれ異なります。例えば、夫婦2人が会社員で十分な厚生年金や退職金、企業年金などがもらえるならば、現役世代に老後資金を用意する必要はないかもしれません。しかし、年金額が不十分で生活費より年金額が少ないという場合は、不足する老後資金を現役のうちにしっかり用意しておく必要があります。
たとえば、会社員の夫と専業主婦の夫婦で受給できる年金額が合計月20万円、必要生活費が月30万円と仮定します。定年退職する65歳から90歳までの15年間生きるとしましょう。この場合、生活費の不足分10万円×12ヶ月×15年=1,800万円必要です。
資産形成は30代、40代から始めた方が有利
資産形成は、早く始めれば早く始めるだけ得をします。なぜなら複利の恩恵を受けられるからです。複利とは、運用で得られた利息を元本に組み入れ、その元本に対して利息が計算される方法です。
例えば、100万円の運用を1年間して1万円の利益が出たとします。2年目には1万円も合わせて101万円で運用すれば、101万円に対して運用益が得られます(※税金は考慮していません)。これを繰り返すことにより元本がどんどん大きくなるので、運用期間が長くなるほど得られる利息も増えるのです。複利の恩恵を受けるためには、一日でも早く資産形成を始めるべきといえるでしょう。
▶︎資産形成の必要性に関して詳しくは「資産形成の必要性はある?」で解説しています。
30代、40代におすすめの資産形成は?
難易度 | 特徴 | 30代おすすめ度 | 40代おすすめ度 | |
---|---|---|---|---|
貯金 | 易 | 各金融機関ペイオフの対象になる1,000万円までなら元本割れのリスクはない。ただし、利息はほとんどつかない。 | ◎ | ○ |
節約・固定費見直し | 易 | 家賃などの固定費の見直しをすると一気に出費を減らせる可能性がある。 | ◎ | ○ |
節税 | 易 | 住宅ローン控除や生命保険控除など節税できる制度は使ったほうが得。 | ◎ | ◎ |
副業 | 中 | 収入を得られるまでに時間がかかる場合も。本業に差し支えない程度に時間管理などが必要。 | △ | △ |
つみたてNISA | 中 | 預金するよりも資産を増やせる可能性がある。運用益に税金がかからず節税が可能。 | ◎ | ◎ |
iDeCo | 中 | 老後資金を自分で運用して用意できる。60歳まで引き出せない点に注意。 | 〇 | ◎ |
投資信託の積立 | 中 | つみたてNISA・iDeCoの枠以上に運用したい場合におすすめ。個別株投資よりリスク分散できる。 | 〇 | ◎ |
株式(単元未満株) | やや難 | キャピタルゲインとインカムゲインが得られるが、値動きが激しく元本割れのリスクがある。 | △ | 〇 |
30代40代におすすめしたい資産形成を表にしました。これらは、すべてやらなければいけないわけではなく、ご自身の家計や状況に合ったものから始めてみると良いでしょう。
そもそも初心者でもできるのか不安な方は「初心者におすすめの資産形成は何がある?始めやすい順にわかりやすく解説」を読んでみましょう。「自分にもできるのか」という漠然とした不安が解消されるはずです。
30代におすすめの資産形成ランキングTOP3
貯金&節約
30代は、教育資金やマイホームの購入など出費が多くなる年代です。そのため、すぐに使えるお金を増やすことが大切と言えるでしょう。
お金は増やすよりも出ていく分を減らした方が、即効性はあります。投資で大きく資金を増やそうと考える前に、まず節約を意識しましょう。
シミュレーション例)
- 給料日に先取り貯金(+5万円)
- 光熱費、携帯料金の見直し(+5,000円)
- クレジットカードを高還元のものに乗り換え(+300円〜2,000円前後)
- マイボトルを持ち歩く(1日100円 30日で3,000円)
合計 約6万円
年間 +72万円
節約で捻出したお金が余るようになってから投資を考えてみましょう。
つみたてNISA
家庭のためのお金とは別に、自分の老後資金をつくる必要もあります。老後資金というとiDeCoのイメージが強いかもしれませんが、いつ出費が必要になるか予測しにくい30代はまず、つみたてNISAから投資をするのがおすすめです。つみたてNISAは運用途中でも解約や出金が可能。
つみたてNISAは年間40万円の枠があり、金融庁が定めた投資信託のみが投資の対象。各金融機関において月1,000円〜と、少額からはじめられるようになっており、20年以上の長期スパンで資産を増やせる可能性があります。利益も合わせて再運用することで、複利の効果が得やすいのがポイントです。通常、運用益には20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAの運用益には税金はかかりません。
つみたてNISAは投資という性質上、元本割れのリスクは避けられないのがデメリットです。順調に資産を増やしていても、利益確定しようとしたタイミングでリーマンショックのような経済危機が起これば、元本割れしてしまうリスクは理解しておきましょう。ただし過去のデータから見ると国内株式、海外株式、国内債券、海外債券へ4等分して投資を20年以上保有した場合には、マイナスになっていません。

iDeCo(個人型確定拠出年金)
30代になると役職もあがり、給料も増えてくる人もいらっしゃるでしょう。老後資金を貯めるためには、iDeCo(個人型確定拠出年金)もおすすめです。iDeCoは、掛け金が全額所得控除の対象となります。また、利息や運用益も非課税で、受取時も一定額まで優遇される点もメリットです。
ただし、60歳を超えるまで原則引き出しができません。そのため、まずはつみたてNISAを活用し、更に余裕資金があるならiDeCoを利用するのがいいでしょう。
iDeCoの掛金の上限は加入資格により異なります。
加入資格 | 掛金上限 |
---|---|
自営業 | 月額6.8万円 |
会社に企業年金がない会社員 | 月額2.3万円 |
企業型DCに加入している会社員※ | 月額2.0万円 |
DBと企業型DCに加入している会社員※ | 月額1.2万円 |
DBのみ加入している会社員 | 月額1.2万円 |
公務員 | 月額1.2万円 |
専業主婦(主夫) | 月額2.3万円 |
※DC=確定拠出年金
※DB=確定給付企業年金
参照:国民年金基金連合会
iDeCoの仕組み|iDeCoってなに?|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】(ideco-koushiki.jp)
老後資金を退職金でまかなおうと思っている方もいらっしゃると思いますが、先述のとおり企業の退職金は減少傾向にあります。自分でも用意しておくに越したことはありません。
40代におすすめの資産形成ランキングTOP3
節税
40代の平均年収は下記の通りです。
40代前半 | 40代後半 | |
---|---|---|
男 | 582万円 | 629万円 |
女 | 318万円 | 324万円 |
合計 | 476万円 | 499万円 |
40代になると平均給与が増えますが、社会保険料や所得税も増加するので手取りはそこまで増えません。住宅ローン控除や生命保険料控除、医療控除など各控除制度を有効活用すれば、手元に残るお金が増えるので積極的に利用すべきでしょう。
<住宅ローン控除を利用して節税するシミュレーション>
40代前半:年収600万円 妻子ありのケース
3000万円の物件を住宅ローン3000万円、35年ローン固定金利1.354%で借りて2021年1月に購入。ボーナス返済はなし。住宅ローン控除は1年目で約29.3万円。
※毎年末の住宅ローン残高の1%が控除されます。
控除を受けるためには、確定申告が必要な場合があります。節税により手元に残るお金が増えれば、投資などの資産形成に回すお金も捻出しやすくなります。
iDeCo(イデコ)とつみたてNISAの併用
40代は30代と比べて、余裕資金が増える可能性が高いです。余裕資金があるのであれば、iDeCoとつみたてNISAを併用するのがおすすめ。ただし、両方を運用する余裕がなければiDeCoを優先したほうが良いでしょう。iDeCoの掛け金は所得控除の対象になり、節税効果の恩恵が大きいからです。
40歳に積み立てを始めても60歳まで運用期間は20年あります。投資商品で運用する場合、元本割れのリスクはありますが、過去データでは米国インデックス(S&P500)や4資産分散型投信は「+」に収束しています。
投資信託の積立
メガバンクの普通預金利率は、0.001%と微々たるものです。非課税枠でないと運用益に対して税金がかかりますが、運用益がプラスなら預貯金より得をします。預貯金として眠らせているだけの資金があるとすれば、iDeCoやつみたてNISAと同じ銘柄を運用するのも有効な手段です。
参照:三菱UFJ銀行
円預金金利 | 三菱UFJ銀行 (mufg.jp)
資産形成でやってはいけないNG行動4選

最後に、資産形成でやってはいけないNG行為を紹介します。
短期間で増やそうとする
短期間で資産を増やそうとするのは危険です。短期間で資産を増やそうとすると、リスクが高い商品に手を出すことになってしまいます。その結果、大切な資産を大きく減らしてしまう可能性も。短期的に増やすという考えは捨てて、コツコツ増やすことを考えましょう。
投資ではなく「投機」に走る
投資ではなく投機に走るのもNGです。例えば株式投資で値動きが大きい株を購入したり、仮想通貨を購入したりするのは投資より投機に近いといえます。知識がない初心者が手を出すと、売却するタイミングを逃し、大きな損失を抱える可能性があるので注意しましょう。
※投資と投機の違い:投資は、将来が有望な投資先に、長期的に資金を投じること。一方、投機とは相場の変動を利用し、利益を得ようとする短期的な取引のことで、相場によっては大きな損失が発生する可能性があります
貯金と投資のバランスが取れていない
投資にお金を使いすぎて、貯金とのバランスが取れなくなるのも危険です。貯金が少ないと、いざ資金が必要になった時にすぐ用意できないからです。生活費の6ヶ月分は貯金で置いておき、それ以上を投資に回すことを推奨します。
他人の意見を鵜呑みにする
他人の意見を鵜呑みにするのも、絶対に避けましょう。誰かから投資商品を勧められたとしたら、まず自分でもどんな商品か、またどんなリスクがあるかを確認して、納得してから購入するようにしてください。
今始められることから手をつけよう
老後資金は数千万円という大きな金額が必要になる場合があるので、一日でも早く準備を始めるべきといえます。まずは貯金や節約から始め、余裕ができてきたらつみたてNISAやiDeCoを活用して、コツコツ積み立てるといいでしょう。
投資で資産形成をする場合は、投資に関する知識も必要です。ぜひ「勉強」の時間も確保して、資産形成を始めてみてください。
資産形成の勉強方法について詳しくは「資産形成の勉強は何から始める?効率よく学ぶコツをわかりやすく解説」で解説していますので是非チェックしてみてください。
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