「固定金利か変動金利か」で迷う人へ──1級FP・元フジテレビアナ・西岡孝洋氏が教える住宅ローンの組み方
住宅ローン審査で希望額を借りられたとしても、その金額を35年、50年にわたって無理なく返せるとは限らない。マンション価格が上がり、大きな住宅ローンを組む世帯も増えるなか、日銀が政策金利を引き上げ、住宅ローン金利の先行きにも注目が集まる局面だからこそ、「借りられる額」と「家計を壊さずに払える額」の違いがこれまで以上に重要になっている。
第5回では、西岡孝洋氏に年収の何倍まで借りていいのか、変動金利から固定金利へ変更する意味はあるのか、そして売却時に次の買い手を見つけるために、どんな間取りや立地を選ぶのかを具体的に聞いた。
※この記事は、みんかぶプレミアム連載「マンション・住まいで稼ぐーーシン富裕層への黄金ルート」の一部です。
住宅ローンは「借りられる額」まで借りていいのか
これまで私はフルローン(物件価格を全て金融機関からの融資で賄う)で借りたことが一度もありません。いわゆる「頭金」とどう向き合ってきたか、お話しします。
まずは頭金の説明をします。新築物件だとディベロッパーに契約時に決められた割合の、中古物件だと売主と合意した割合の手付金を払います。これに加えて、住宅ローンを借りる金額を調整するために追加でお金を入れる場合があります。これらを頭金といいます。
近年ですと、この頭金は少なければ少ない方がよい、という考え方が主流です。住宅ローンを借りられるだけ借り手元に現金を残し運用した方が得だ、という方が多かったように感じます。
しかし私は、物件によっては、ディベロッパーに契約時に収める手付金に加えて頭金を3割、4割ほど入れたこともあります。なぜだと思いますか。
もちろん、頭金を多く入れることが、どんな状況でも正解という意味ではありません。ただ、金利が上がる局面では、借入額が大きいほど毎月の負担も増えます。1億2000万円をすべて借りた後に金利が上がれば、本人の努力とは関係なく返済負担が増える可能性があります。
過去のような値上がりが続くなら、大きく借りても売却益で吸収できるかもしれません。しかし、これからも同じように利益を取れる保証はありません。これからは、キャピタルゲインを前提にせず、給与の手取りから毎月払えるかを見る時代に戻ったと私は感じています。
また、キャッシュフローの面からも家計を見ることは当然に必要です。金利が変わっても生活を維持できる借入額へ調整するために、頭金は最低限必要な存在として私は捉えています。
今から固定金利へ変えるメリットはあるのか
では、すでに変動金利で借りている人は、金利上昇を不安に感じて固定へ変更するべきなのでしょうか。私は、現在の条件から固定へ切り替えるメリットはあまりないと考えています。
私が変動0.2〜0.3%ほどで借りていた頃、固定金利は0.9%ほどでした。固定0.9%を選んだ人は、現在になって「固定にしてよかった」と思うかもしれません。しかし、その間の6〜7年、変動を選んだ人はより低い金利で返済してきました。
今後、固定0.9%の人と変動金利の人の総支払額が逆転するには、変動金利が固定を上回った状態が相応の期間続く必要があります。しかも、これから固定へ変更する人が、過去と同じ0.9%で借りられるわけではありません。
だからこそ、過去の差を無視して「これから上がりそうだから固定」と考えるのではなく、すでに払ってきた金利と、変更後の条件を合わせて見る必要があります。