レパトリ(れぱとり)
【短期的な為替変動要因】
レパトリとはレパトリエーションの略で、その意味は企業などが海外に投資していた資金を本国に戻すことをいいます。
例えば、米国に投資をしていた日本の企業が、3月の決算に備えて日本に資金を戻します。その場合、ドル売りを売って円を買うという、いわゆる実需の動きが発生するために為替の変動要因となります。これが多くの企業が行うために、巨大なドル売り円買い需要が発生する為、この時期は円高になりやすいといわれています。
また、相場ですからレパトリの噂だけでも相場は動きます。ちなみに、英語ではRepatriationと書くのでリパトリエーションとも言いどちらでも通用します。
【震災時にレパトリの噂がマーケットがクラッシュ】
2011年3月11日(金)に発生した東日本大震災で、日本は大打撃を受けました。震災の発生時間が2時46分だったために、日本市場は開いています。当然、日経平均は急落を引き起こしました。当時、10,370円付近だった株価はあっという間に100円程下落しました。ドル円はこの時ほとんど反応せず、日本が危ういということでやや円売りとなっていました。
しかしながら、数時間後に状況は一変しました。震災の被害があまりにも大きかったために、保険会社が支払う保険金の額がとてつもない額になるために、外債や株式を売却し現金化するのではないかという噂が流れました。つまり、保険会社によるレパトリが行われるという予想がマーケットを駆け巡ったのです。これは、ドル売り円買い=ドル円の下落に繋がります。
欧州時間に入ると、やや円安で推移していたドル円は下落に転じ83円台から82円台前半まで下落。NY市場に入ると、82円台を割り込んでいきました。週明けは、原発の被害と日経平均の大暴落が重なりドル円はひとたまりもなく下落。一時76.76円とバブル崩壊後の安値をつけました。(あまりに急落したために各社安値に大幅なバラつき有り)日経平均株価は大暴落し、震災前日の3月10日は10,400円程度でしたが、3月15日にはは8,600円まで急落してしまいました。14日、15日と1,000円、700円と下落するのですから、仕方がありません。
このあまりのマーケットのクラッシュを受けて、3月18日にはG7の財務相・中央銀行総裁会議の合意を受け、協調介入(ドル買い円売り介入)が行われました。
※協調介入とは、急激な為替相場の変動による悪影響を抑えるために、G7の国々が連携し、外国為替市場で為替の売買を行うことです。
協調介入は、一国で介入を行う単独介入よりも遥かに規模が大きく、また7ヶ国の同意の下行うために市場参加者から支持されやすく非常に高い効果が得られます。この時、日本では約6,000億円の円売り介入を行ったといわれています。この協調介入の実施により、ドル円の暴落は一転、急騰へと繋がりました。協調介入が行われた約20日後には、なんと85円まで円安が進行しています。