ココ債(ここさい)
CoCo債(ココ債)は、「Contingent Convertible Bonds」の略称で、日本語で「偶発転換社債」とも呼ばれ、制限条項が付いた転換社債をいいます。
これは、主として世界の金融機関が発行する、株式と債券の中間の性格を有する新型証券(ハイブリット証券)で、世界的な金融危機の反省から自己資本規制を強化する流れの中で、2010年頃から欧州の金融機関を中心に発行され、その後、アジアや米国など世界中の金融機関に資本増強手段の一つとして広まりました。(2019年にかけて新たに導入される自己資本比率規制(バーゼル3)において、上積みを求められる中核自己資本への算入が可能になったことから金融機関で人気化)
一般にCoCo債は、発行体である金融機関の自己資本比率が予め定められた水準を下回った場合などにおいて、元本の一部または全部が削減される、あるいは強制的に株式に転換されるなどの仕組み(トリガー条項)を有しています。
通常の転換社債では、投資家が発行企業の株価水準などを見ながら、株式に転換するか自由に判断できるのに対して、本債券は金融機関が一定の資本不足になると普通株に強制転換されたり、元本を削減されたりする点が大きく異なり、投資家のリスクが高くなる分、利回りが高めに設定されます。
また、他のハイ・イールド債と比べて、格付けと利回りが高いことから、リスクはそれなりにあるものの、投資家には高い人気があります。
なお、投資対象として魅力的と思われるCoCo債ですが、一方で「商品設計の複雑さ」を問題視する声もあり、仮に金融危機が発生し、ある金融機関でトリガー条項が発動された場合、「ドミノ崩し的に債券価値が下落する恐れがある」と指摘されており、リスク面での注意(リスク査定等)は必要です。
・ドイツ銀のCoCo債保有者、リスク移転の当局の意図にやっと気付く欧州の監督当局が新しい種類の銀行債を設計した目的は、銀行救済のコスト負担リスクを納税者から投資家に移転するためだった。この債券、偶発転換社債(CoCo債)の保有者らは今になって、これに気付きつつある。利回りを求めて投資家はCoCo債1020億ドル(約11兆3700億円)相当を購入した。CoCo債は銀行が苦境に立った際に利払いを停止してもデフォルト(債務不履行)とならず、株式への転換や元本削減もできる。このような事態になったことはまだないが、ドイツ銀行の46億ユーロ(約5800億円)相当のCoCo債は利回りが急上昇、同行の株価も下落し、投資家は痛みを味わっている。
ワシントンの調査会社、フェデラル・ファイナンシャル・アナリティクスのマネジングパートナー、カレン・ショー・ペトルー氏は「投資家が利回りを求めるためにリスク対して鈍感になっている時はCoCo債を大量に発行できる」と指摘。「ここ数年の利回り追求ラッシュに銀行の他の調達コストが超低水準の状況が合わさり、銀行システムのリスクは劇的に上昇した」と分析した。
ドイツ銀のCoCo債の利回りは年初の7.5%から11.7%前後まで上昇。株価は同じ期間に30%余り下落した。
■ドイツ銀行のココ債http://irnet.co.jp/?p=1565
■CoCo債とは?(ヤバい仕組みとリスク)http://www2.analystkobo.com/gi/coco
■ドイツ銀行が「自らのココ債の買い戻しを検討している」と、ほのめかしたhttp://markethack.net/archives/51998497.html
■中国の銀行、「ココ債」に見る自己資本不安過去2年に6兆9000億円発行されたココ債価格が急落http://jp.wsj.com/articles/SB11865717880025093900504581543781342969572