ゾンビ企業(ぞんびきぎょう)
「ゾンビ企業」という言葉はもともと2002年の海外のメディアで名づけられたものでした。経営に問題があるものの銀行の支援により、なんとか存続を続けている企業のことを呼びます。まさに死にながら生きているゾンビのような企業ということでしょうか。ゾンビ企業自体は世界中どこの国にも存在し、ここ日本にも存在します。
【中国ゾンビ企業の概要】2016年時点では、この問題は中国が一番深刻です。中国は鉄鋼・石炭は供給過剰の状態にあります。物は有り余っているのに、買う人がいないという状態です。その状態のまま、鉄鋼石や石炭を売る企業の収益は減少する一方でした。
そして経営不振だけではなく、もうひとつ問題になっていたことがありました。それは不振に陥っていた企業の粉飾決算です。経営不振に陥っている企業は銀行からの融資を借りたいために、嘘の決算を報告していました。しかも、粉飾決算には不透明な部分も多く、今把握されている数よりもさらに増加するという見方もあります。
2016年の全人代での対策
2016年3月に日本の国会にあたる第12期中国全人代が開催されました。そこでもっとも注目を集めたのが、上に書いた中国に存在するゾンビ企業の処置でした。ゾンビ企業を整理することで、銀行の融資を中小企業に回し、経済を押し上げるというものです。あるTV番組では、以下のように報じられていました。広東省重慶市企業数:約2500社リストラ人数:180万人(最終目標は600万人)リストラ対策:1兆7,500億円規模報道されているものだけでもこの規模に及びますので、実際の数字はこの数倍に及び、ゾンビ企業の不良債権は400兆円ほどに上るのではないかという説もあります。
ゾンビ企業の問題点
ゾンビ企業の処置はメリットだけではなく、デメリットも存在する政策です。今回のゾンビ企業の処置では失業者が600万人でると言われています。ゾンビ企業の失業者は中国北東部などある一定の地域に集中しているため、失業者の再就職が問題視されています。もし、失業者が再就職する場合、中国における戸籍制度や、年金や福利厚生を受け取れないという問題もあります。また、これら失業者が街頭に繰り出しデモを行うと政局や社会不安につながります。その結果、政府が目標とする改革のペースは遅れることとなります。それでも、思い切った政策を迫られているのは、中国の経済成長が鈍化が著しくなっているからでしょう。これからもメディアで多く報道されるこの問題は、第2のリーマンショックとなるか否かとしても要注目です。