ローソク足とは?チャートの見方から分析方法まで徹底解説

目次
ローソク足とは?
ローソク足とは、時系列にそって株価の動きを表すチャートです。
このローソク足チャートの「ローソク」は、1日や1週間というように時間を区切った時の、始値(はじめね)、高値(たかね)、安値(やすね)、終値(おわりね)、という四本値(よんほんね)を形で表したものとなっています。
ある一定の期間の中で、始値は最初についた値段、高値は一番高い値段、安値は一番安い値段、終値は最後についた値段のことを言います。

このローソク足は実は日本発祥のテクニカル指標で、江戸時代に出雲国の米商人 本間宗久(ほんま そうきゅう)が発案し、大阪・堂島の米取引で使われたと言われています。

また、この時のローソク足の下値の線を下ヒゲ、上値の線を上ヒゲと言います。もう一つは十字の形をした同時線です。この線は相場が上下しましたが、結局そのときの終値が始値と同じ値段で取引を終えています。これは売りと買いが拮抗している状態を表しています。
ローソク足の見方
ローソク足には「陽線」と「陰線」の2種類があります。
終値が始値より高かったとき(価格が上昇した時)は陽線、反対に終値が始値より低かったとき(価格が下落した時)は陰線で表されます。

上の陽線では、終値が始値に比べて20円上昇したことが分かります 。反対に、陰線では終値が初値に比べて20円下落していることが分かります。上昇相場では陽線が、下落相場では陰線が続くことが多いです。
このローソク足には上ヒゲと下ヒゲがありますが、ヒゲは高値/安値が始値と終値が作る本体よりも高い、もしくは低い場合に出てきます。
上下についたヒゲが長いかどうかも株価の値動きをはかる材料となる場合があります。
例えば、上のヒゲが長い=売り圧力が強い、下のヒゲが長い=買い戻しの勢いがあるなどと判断することができます。
次にヒゲのない陽線や陰線について説明していきます。

ヒゲのない陽線は「陽の丸坊主」、ヒゲのない陰線は「陰の丸坊主」と呼ばれています。
「陽の丸坊主」は最初から最後まで買われ続けたことを意味していて、投資家の強い買い意欲を示しています。下落の流れにあるなかでこの長い線が出ると、流れの転換点となることもあります。
一方で、「陰の丸坊主」は期間内の値動きがどうであれ、最初から最後まで売られ続けたことを意味しています。
上昇の流れの中でこの長い線が出ると、下落への転換ポイントとなる場合があります。
このように1本のローソク足からも値動きの方向性を読み取ることができます。
期間によって変わるローソク足の種類
ローソク足は期間を定めて、その期間内で4つの数値をとり作成されています。先ほどはローソク足の見方を説明しましたが、次は期間について説明していきます。
期間は大きくわけて「分足」「日足」「週足」「月足」があります。(年足もありますが、使用頻度が少ないため省略します)
それでは、1つずつ見ていきましょう。
分足
分数を期間に設定したローソク足のことです。一般的には5分、30分、60分といった期間で前述した4つの数値がとられてローソク足(分足)になります。分足を時系列で集めたものが分足チャート(下記チャート)で主に短期で株の売り買いをするデイトレーダーが使用しています。

日足
1日を期間に設定したローソク足のことです。1日を基準に4つの数値をとりローソク足(日足)になります。ここでいう1日とは株式市場でいえば、寄り付き(開始)時間の9:00から大引け(終了)時間の15:00までの期間で設定されます。
日足からなるチャートを日足チャートといい、デイトレーダーやスイングトレーダーをはじめ、中期目線で投資をする投資家まで幅広く利用されています。

週足
1週を期間に設定したローソク足のことです。株式市場でいえば、月曜から金曜までの間で4つの数値をとって作成されます。週足を使用したチャートは中期投資から長期投資において使用されることが多いです。

月足
1カ月を期間に設定したローソク足のことです。月初めから月の終わりまでの期間で4つの数値をとってローソク足にします。
月足を利用したチャートは、過去の株価の動きを長期的な視点で確認することに使用されます。長期的な投資をする際にトレンド(株価の流れ)の転換を知るため使用されることも多いです。

種類を使い分けてローソク足を分析
ローソク足を一本取り出して、そのローソク足が何を示しているのかを分析してみましょう。分析をすることで値動きを詳しく読むことができるようになり、先行きの予測がしやすくなります。
例えば、日足チャートの中の最新の日の1本を取り出して、5分足に変換して確認することで、1日の中でどのような動きがあったのかを確認することができます。

緩やかな値動きで構成されたローソク足
1日の値動きが緩やかな場合のローソク足の例です。日足のローソクの横にある線が株価の1日の値動きです(縦が株価の軸、横が時間の軸)。次のような動きになっています。

- 市場が始まり、少し上昇した
- その後、株価がだんだんと下がり始める
- やがて底をついて再び上がり始める
- 最後に、少し下落して終了
という流れです。1本のローソク足でも中身である1日の値動きを見ると、「いったん売られたけど、買われ始めた」という印象が強いことがわかります。最初に提示した株価チャートはこの動きに少し似ています。では次の動きはどうでしょうか。
急激な動きによって構成されたローソク足
先ほどのローソク足と全く同じものですが、値動きは次の通りになります。

- 株式市場が始まると同時に株価が急落
- その後すぐに株価が上昇、はじめよりも高い地点まで一気に戻す
- その後高値付近で株価が推移する
- 最後市場が閉まると同時に大きな売りが入り、大きく下落して終了
先ほどに比べて激しい値動きをしていることが分かります。短期的な資金が流入しやすい銘柄(マザーズ銘柄)などは、このような動きになることが多いです。上記の2つの株価は全く異なる動きをしていますが、1本のローソク足にしてみると同じ形になります。
相場の転換ポイントなどでは特に、1日がどんな動きだったかを確認することは大事です。なぜなら、株式市場の世界では前日の値動きが次の日に影響を与えることが多いからです。
特に短期のトレードをするのであれば日足チャートの中身を、5分足チャートにして確認することで、次の日のトレードの成果を高めることができます。ローソク足は、場合によっては多角的な視点で見る必要があることを覚えておきましょう。
ローソク足の組合せから分かるパターン
ローソク足の分析では一本の足からわかる株価の動きの質を確認しましたが、足が2本以上組み合わさることで、より高精度に値動きを読むことができます。ここでは「はらみ」、「つつみ」、「かぶせ」の3種類を覚えましょう。
はらみ
はらみは次に出たローソク足がすっぽりと前の足の範囲に収まっている状態のことをいいます。

このように、1本目のローソク足が陰線のはらみ線は下落から上昇の転換を示唆しています。2本目のローソク足はいずれも1本目のローソク足の値動きの範囲内に収まっており、安値を更新できていません。1本目のローソク足では大きく売られましたが、2本目のローソク足では前日よりも売りが少なくなっていることが分かります。

反対に、1本目のローソク足が陽線のはらみ線は上昇から下落の転換を示唆しています。2本目のローソク足は1本目のローソク足の高値を更新できておらず、前日よりも買いが少なくなっていることが分かります。
つつみ
さて次はつつみです。つつみははらみの反対で、前日のローソク足が翌日のローソク足の範囲に収まっている状態のことを言います。

このように、小さめの陽線の次に、それを大きく包んでしまうほどの陰線が出現しているつつみ線では、上昇から下落への転換を示唆しています。

一方で、このように下落相場で小さい陰線を大きな陽線がすっぽり包んでしまう場合、下落から上昇への転換を示唆しています。
かぶせ
最後にかぶせです。

図を見ると陽線が出現した次に出ているローソク足の株価が、陽線の終値より高くはじまり安く終わっています。ちょうどはらみでもつつみでもない中間地点のような組み合わせだとわかります。
このようなパターンが、上昇相場で出現すると上昇から下落への転換を示唆していることになります。

反対に、このように最初に陰線がでて、次に陽線がかぶさる逆のバージョンもあります。このパターンが下降相場で出現すると、下落から上昇への転換だとみなされます。
さて、ここまで3組の組み合わせを確認しました。当然のことですが、これらの組み合わせが出現したからといって、必ずしもその通りに株価が転換するとは限りません。
ローソク足はテクニカル分析において最も大事なものの一つですが、ローソク足だけを見て投資を行ってしまうと、いわゆる「ダマシ」に出会うことがあります。(ダマシとは、本来ならなるべき株価の動きとは全く逆になること)明らかにパターンによって上げ下げのサインが出ていても株を売買した後、全くサイン通りに動かないということもあります。
大事なのは「足の組み合わせは参考にはなるが、妄信してはいけない」ということです。株式投資においては、ローソク足以外にも出来高や移動平均線、ニュースなどを複合的に組み合わせて売買することが大事なのです(後述)。
なおローソク足の組み合わせに関していうと、酒田五法というローソク足を利用した法則があります。有名な組み合わせがいくつかありますが、その中から特に実戦で活躍すると思われる組み合わせ(パターン)を次に紹介します。
知っているだけで得する!代表的なローソク足のパターン8選
ローソク足のパターンを知っていると、そのパターンが出現したときにいち早く株価の値動きの予測を立てることができます。ここでは代表的な8パターンの組み合わせを知っておきましょう。
三空叩き込み

下降相場にて、三連続で窓を開けて連続で陰線が出現した形を三空叩き込みと言います。窓とは隣り合ったローソク足の高値と安値が離れている場所のことをいい、図では丸の部分が窓を表しています。
パニック的に売られていることから株を保有している人たちは損失を何とか食い止めようといくらでもよいから売れればよいという状態になり、売りがどんどん出てくることから出現すると言われています。
パニック的な売りが一段落した後は、反発し上昇に転じることから翌日に陽線を確認できたら買いのシグナルとされています。
三空踏み上げ

上昇相場にて、三連続で窓を上に開けて四本連続で陽線が出現した形を三空踏み上げと言います。
株価が一気に買われていることから、相場が熱くなり株を買う投資家が増大することで出現すると言われています。投資家の買いの勢いが一段落した後は反対に下落に転じることから翌日陰線を確認できたら売りのシグナルとされています。
赤三兵

陽線が三本同一方向に上昇しているものを赤三兵と言います。ローソク足はそれぞれ前日の終値よりも低く始まり、高く終わることで、今後の上昇へと向けた買いのシグナルとされています。

一方で、このように陽線が三本連続で出ていても、最後の陽線に長い上ヒゲが出ているときには売りのシグナルともいわれています。
三羽烏

赤三兵の逆のバージョンとなります。上昇相場のあと、図のように陰線が重なって3本連続で出現した場合は売りのシグナルといわれています。三羽烏と呼ばれる組み合わせです。
上げ三方

上昇相場において株価が一時的に下げるもその後、大きな陽線で陰線をはらむような形になる場合の組み合わせを上げ三法といいます。ちょうど上昇時に三羽烏が出現して目下売り目線となった直後の大陽線の出現となり、買いのシグナルとなります。
下げ三方

下降相場において一時的に株価が赤三兵のような形で上昇して、買い目線となるもその直後に大陰線が出現するパターンを下げ三法といいます。売りシグナルとなります。
上放れ陰線

急騰した後に、図のように、窓を開けて陰線が出現した形を上放れ陰線と言います。利益確定の売りで一旦は下げますが、再び上昇していくことが多いことから、買いのシグナルとされています。しかし、その後この形がもう一度繰り返された場合には売りのシグナルとされることが一般的には多いようです。
首吊り線

上昇相場で、図のように大きく窓を開けて始まり、長い下ヒゲを持つ短いローソク足が出現するパターンを首吊り線と言います。
首吊り線は、利益を確定するための売りによって下がったものの、押し目買い(一時的に下がったタイミングで買うこと)が行われ、反発上昇することで出現すると言われています。買い支えはあるものの、多くの投資家がその価格帯を高いと考えているため、首吊り線は売りのシグナルとされています。
以上、8つのパターンをご紹介しました。
次は、実際の株価チャートを使って、株式ジャンルごとの特徴を見ていきます!
実例開設!株式ジャンルごとの特性をチャートから読む
ここまでで一通りローソク足の基本に関する説明は完了しました。最後に日足チャートを使って次の3つのジャンルの株式のローソク足の動きを見てみることにします。
- 値動きの堅い大型株
- 値動きの激しいマザーズ銘柄
- 値動きの緩やかな優待株
ここでは以上のような3種類を取り上げてみます。似たようなローソク足が並んでいても、中身が全く異なることが分かるはずです。
値動きの堅い大型株
大型株とは、一般的には時価総額(企業の株価×発行済み株式数)が大きい企業の株式をさします。三菱UFJ銀行などのメガバンク、三菱商事などの大手商社、トヨタ自動車などの世界的に有名な自動車メーカーなどがこれにあたります。下記は三菱UFJフィナンシャル・グループの日足チャートです。

値動きは比較的堅く、特にイベントが発生していないときには1~3%程度の値動で推移します。ローソク足を見ても、それほど長い線は出ていないことがわかりますね。
長い線といいましたが、銘柄を選ぶ上では銘柄ごとの線の長さの癖を無視するわけにはいきません。線が長いローソク足が多ければ、その銘柄はボラティリティの高い銘柄であり、一般的には短期投資をするトレーダーたちに好んで取引をされます。
それが次に紹介する値動きの激しい銘柄になります。
値動きの激しいマザーズ銘柄
マザーズ市場に上場している銘柄をマザーズ銘柄と呼びますが、値動きが大変激しいことで有名です。特に短期的な資金(トレーダーの資金)が一時的に流入した銘柄は1日の値動きも大きくぶれます。
下記チャートはマザーズに上場しているライトアップという銘柄の日足チャートです。ある時から急にローソク足の幅が大きくなったり、窓を空けて値動きしていることが分かります。

一見、先ほどの株価チャートと値動きが似ているように見えますが、株価チャートの横の価格を見ると明確な違いがあります。
ライトアップの場合、記されている価格が1500から4000と約2.5倍の範囲で記されています。これはたった数か月でそれだけ株価が動いてしまうことを意味しています。
ローソク足も長く、長いところでは1日に15%以上株価が動く日もあります。このような銘柄はボラティリティの大きな銘柄として短期トレーダーたちが頻繁に売買することもあります。
もしこのような値動きの激しい銘柄を避けたいのであれば、先ほどの大型株かもしくは少し地味ですが次にご紹介する優待株というジャンルがあります。
値動きの緩やかな優待株
優待株は、株主優待を実施している企業の株のことで大型でない小型の銘柄も多く、個人投資家から人気があります。
機関投資家や外国人投資家などが買うには企業規模が小さすぎる銘柄も多く、大型株や値動きの激しいマザーズ銘柄に比べて安定的な値動きをします。
下記チャートは代表的な優待株のすかいらーくグループの日足チャートです。

チャート横の価格の幅を見てもわかりますが、1500円から1800円と非常に値幅が狭く、ボラティリテイの低い銘柄といえます。
安定的な値動きをする株式を狙いたいのであれば、このようなローソク足が落ち着いた値動きをしているジャンルの株式を扱ってもよいでしょう。
まとめ
ローソク足は、株価チャートを読むための土台となるものです。移動平均線や出来高、その他テクニカル指標を十分に使いこなすためには必要不可欠な知識なのです。
ローソク足を攻略できたかどうかがその後の投資成果に直結しますので、本記事の内容を確実におさえるとともに、ご自身でもチャートを何度も眺めてローソク足の動きを確認する癖をつけてみましょう。