おすすめ銘柄の探し方

ひとこと解説
- 自己資本比率は高ければ高いほど健全(一般的には60%以上)
- 株価指標を見て買い時を見定める
- 良い会社の見つけ方は、株式市場よりも日常生活の方が見つけやすい
- ヒット商品になりそうなものが見つかった場合、その企業を調べる
目次
良い銘柄とは
株式投資をしている人ならば、利益を出せる銘柄に投資したいと考えるのは自然なことです。では投資家は何を判断基準にして銘柄を探していけばよいのでしょうか。
中長期的な株式投資をするなら、判断基準としては「財務が健全」で「今後の成長が見込める」「買い時」の銘柄を探すとよいでしょう。
財務が健全な銘柄の探し方
2-1 企業の財務状況を調べる
企業の財務状況を知るには会社四季報を活用するか、会社ホームページのIR情報をチェックするというのが王道です。
財務状況が健全かどうかは自己資本比率を確認してみると分かります。自己資本比率とは、負債(他人資本)と純資産(自己資本)を合計した「総資本」のうち、純資産が何割を占めているのかを表す値です。
資産のうち負債の割合が多ければ、自己資本比率は小さくなります。例えばファーストリテイリング(9983)の2020年8月決算では、総資産約2兆4000万円に対し純資産が約1兆円であり、自己資本比率は39.70%です。
また松屋フーズホールディングス(9887)の2021年3月期決算は、総資産約750億円に対し純資産が約400億円であり、自己資本比率は53.80%です。自己資本比率は一般的に高ければ高いほど健全だと言われており、60%以上が一つの目安です。
ただし、この指標は業種などによっても異なってきます。
例えば一度の工事に多くの資金が必要な建設業では、自己資本費比率は他の業種などと比較して低くなっていますので、判断する場合は同業他社と比較して相対的に低いかどうか見る必要があります。
2-2 自己資本比率のチェックポイント2つ
自己資本比率が健全かどうかという基準は業種によって異なるということは先述しましたが、それ以外に自己資本比率を見る上で気を付けるべきことをご紹介します。
金融業とベンチャー企業の財務状況は、単純に自己資本比率で見るべきではない
金融業は顕著に自己資本比率が低い業種ですが、その理由は、お金を運用することが主な事業であり、手元に資金を置いていないからです。
もう一つ例外があります。それはベンチャー企業です。一般的に設立して間もない企業と40~50年も事業を行ってきた企業とでは、積み上げてきた過去の資産が全く違ってきますので、自己資本比率はベンチャー企業の方が低い傾向にあります。
そのため金融業やベンチャー企業は、自己資本比率が低いからといって、必ずしも不健全な状態だとは言いきれません。
金融業やベンチャー企業の財務状況を見るときは「1株当たり利益」や「売上高伸び率」などの自己資本比率以外の指標も確認するようにしましょう。
業績の悪化に伴う自己資本比率の低下は要注意
金融業やベンチャー企業などの例外はありますが、一般的に自己資本比率が低い企業は業績が悪化している確率が高いと言えます。中で最も警戒してほしいのが、業績の悪化に伴う自己資本比率の低下です。
その顕著な例は日本航空(9201)です。新型コロナウイルスの感染拡大により、航空業界は特に大きな影響を受けてしまいました。
新型コロナウイルスの影響がまだなかった2019年3月期とコロナ禍の2021年3月期では、自己資本比率が約12%下がっています。
2019年3月期 | 2021年3月期 | |
---|---|---|
純利益 | 1508億円 | -2867億円 |
自己資本比率 | 57.4% | 45% |
このように業績が悪化して自己資本比率が下がっている銘柄は、購入する際に注意が必要です。
3つの株価指標から買い時の銘柄を探す
その銘柄が買い時かどうか判断するのに役立つのが「株価指標」です。株価指標にはいくつか種類がありますが、ここでは多くの投資家が重視している3つの指標をご紹介します。
①PER
PERは「株価÷1株当たり純利益」で求められる数字のこと。1株当たり純利益は「純利益÷株式数」で求められます。
利益がすべて配当に回されたと仮定して、何年で元本を回収できるかということを表します。PERは低すぎても高すぎても買うことをお勧めできません。PERは業界によって異なりますが、約15倍あたりが1つの正常値とされています。より正常値に近ければ買い時だといえます。
②PBR
PBRは、「株価÷1株当たり純資産」で求められる数字のことです。1株当たり純資産は「純資産÷発行株式数」で求められます。PBRは「株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)」の略で、この数字が低いほど割安とされます。PBR=1倍が一つの基準とされることが多いです。
③ROE
ROEは「当期資本÷自己資本」で求められる数字です。
ROEは「株主資本利益率(Return On Equity)」の略で、株主から得た資本の何%の利益を当期(1年)で得たかを表しています。この数字が大きければ、自己資本の割に多くの利益を会社が得ているということになり、ROEの大小によってその会社の事業効率を測ることができます。
ただしROEは業種によって大きく異なっているため、あくまで「前より上がったかどうか」ということに注目して良し悪しを判断すべきであり、もし実際にROEが上昇している企業があればそれは買い時だといえます。
上記3指標は「会社四季報」や株式情報サイトの各企業ページで確認することができます。みんかぶでは、各企業のページを開いてから、PER・PBRは「チャート」のタブ、ROEは「決算」のタブを開くと見ることができます。

トヨタ自動車(7203)の指標
各銘柄に投資をする前に、これらの指標が適切な値かどうかを確認し、投資するタイミングを見計らうようにしましょう。
日常生活の中から良い銘柄を探す
初めて聞く人はとても意外に思うかもしれませんが、良い銘柄を探すヒントは日常生活の中にもあります。
毎日使っている商品の多くは、上場会社が売り出している商品です。
そして多くの会社は日々、新商品の開発や新しい取り組みに注力しており、それらが大きく会社の業績を向上させることもあるのです。
その一例がワークマン(7564)です。ワークマンは、もともと職人向けに作業服を販売する会社でした。しかし作業服の機能性は残しつつ、普段着として楽しめるようなデザインにアレンジした服を展開すると、それが大ヒットを記録。
2018年1月から2年間で株価が約5倍に跳ね上がりました。

新型コロナウイルスの影響で他の衣料品チェーンが苦戦を強いられる中、ワークマンは前年比で増収増益を続けています。
また2021年の事例で言えば、サイバーエージェント(4751)の子会社サイゲームスがリリースしたアプリゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」が大ヒットを記録し、サイバーエージェントの株価はアプリリリース時の2月から同年6月にかけて約67%上がっています。

投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットも「自分が完全に理解できない事業には投資するな、また多くの人が必要としている製品を提供する企業に投資せよ」という言葉を残しています。投資戦略上でも、このように身近なところからヒントを得るのは有効だといえます。
日常生活の中でも、このように銘柄選びのヒントが得られるので、普段から身の周りの商品がどこの会社のものか、身近な会社が新しい商品や取り組みで成功を収めていないか、などを意識して生活してみましょう。